デビューラウンド(その1)

真冬・・・私の初ラウンドはクラブを握って2週間後でした。
今思うと「なんだか無謀だったなぁ・・」と。

当時、私の漫画の師匠である「かざま鋭二」師が、
「初ラウンドは俺が面倒見てやる」と、言って下さった3日後でした。
「えっもう ! ? コースに出るの ! ? 大丈夫かなぁ・・」と、言うのが自分の正直な
気持ちでした。
どんな格好で、何を準備すればいいのか解らず師に聞くと、
「Gパンは駄目、スラックスで上は襟のある服でみっともなくない程度の服装で来い!
 もうひとつ、寒いから防寒はしっかりとな!」との事。

今でもハッキリと記憶に残っています。
1月末の寒い日で晴れ渡った青空、澄んだ空気が心地いい埼玉の河川敷きコースでした。  
土手の右側にクラブハウスがあり、左の河川側にはコースが広がっていました。
初めて見るゴルフ場の広さに驚く気持ちと「これだけ広きゃぁボールは無くならんな!」
と、意味なく安心した記憶があります。

何もかもが初めてずくしで新鮮で、フロントでのサインは ”特別な扱い” を受けるようで
自分だけのロッカーがあることが自分の気持ちを大きくさせてくれました。
(ゴルフっていいスポーツだなぁ! なんて。)
あれから随分時間が過ぎていますが、今でもフロントでの署名は何となく気持ちが
高揚し、引き締まりますね!

さて着替えが終わってもそのあと何をすればいいのか分からず、師匠の後に付いて
行くだけ・・・トイレに行き、時計を見て、体を動かし・・まるで真似っこ小僧のようでした。
「さて行くか!」と、師匠。 「そうですね!」と、答えたものの、手順が分からず
ふたたび師匠の後をついて行くだけ。

クラブハウスから出ると身震いがする寒さが・・・。
なるほど 〈 防寒はしっかりとな!〉 の意味が飲み込める。 土手の向こうに下り、
広がるコースに出るとなにやら違う空気を感じる・・師匠も忙しそうに準備運動を。

「パターでも少しやっとくか!」と師匠。
「パターですか、そうですか、やっときましょう!」と、後ろからついて行くと、
小さな練習グリーンの上でボールを転がしているオジサン達。
「これが話に聞くグリーンなるものか・・!」と、初体験にちょっと感動。

「あのカップに入れりゃぁいいんだな!」師匠の真似をして適当に打つだけ、
偶然か、たまたまなのか、師匠よりも上手く入っているようだ。
「お前パター上手いね、才能あるかもね!」と、褒めてくれる師匠。
(何だゴルフって簡単じゃん!)胸を張り、得意気にティーグラウンドへ。 
どうやら師匠の “おだて作戦” にはまった図でした。

さあっ、いよいよスタートです! 
一段高くなったティーグラウンド上で、順番決めの棒を引くと・・
「おっ! 4番バッターか縁起がいいねぇ!」などと馬鹿なことを考えながらワクワク。

トップバッターがスライスして右ラフへ、それを見ながら内心ドキドキ!
ゴルフ場で初めてのショットを撃つことを考えると、余計にドキドキと高鳴る心臓。
ワクワクからドキドキに変わったことに気付き余計にドキドキ・・! !

2番バッターもスライスして右ラフへ、自分もスライスしたら・・・と考えると、
ドキドキドキ・・・! !
もうすぐ自分の番・・頭の中がだんだん白くなっていく・・大丈夫なのか・・俺 !?
                             (つづく)
         「デビューラウンド 」(その1)完。


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