第1話 漫画との出会い。

昭和28年8月生まれ。
戦後の復興も一息つき、世の中が平穏を取り戻し始めた頃に元気な産声を上げました。

祖父の名前の一字と、父の名前の一字をとって名付けられた。
後にその理由を聞いたら「あの頃は忙しくって面倒くさかったからねぇ」と、母の答え。 
仕方ありません・・・まだまだ世の中は貧しく、食うために忙しかった時代です。

田舎に生まれ育った私は裸足で走り回り、裸で川に飛び込んだものです。
そう言えばいつも腹を減らしていた記憶がありますね・・・食べ物もあまり無い時代
でしたし、みんなが腹を減らしていたので、それが当たり前だと思っていました。

そんな子供達にとって空腹を満たしてくれたのが「山」であり「川」でした。
山菜、いたどり、山いちご、びわ、梨、柿、アケビ、栗、きのこ取り・・・
川では鮒、鮎、鰻・・・川魚を竿や仕掛けで捕り、毎日大漁でした。
鮎や鰻が高級な魚だと知ったのは、東京に出てからでした。
「都会の人達は貧しいんだなぁ」って言ったら怒られたのを覚えています。
(今では笑い話ですが。)

そんな遊びに夢中だった小学校1年生の頃、
4歳年上の叔父が学校から帰ってくると自慢げに「見ていいぞ!」と
1冊の本を私の目の前に出したのです。

のぞき込んで見ると【少年サンデー創刊号】と書いてありました。
「そう・かん・ごう・っちゃ、なんね?」
「馬鹿じゃなぁ、創刊ちゅうのは新しゅう出来た漫画本のことっちゃ!」

初めてみる漫画に驚き、ひたすら感動し、何度も何度も読み返したのを覚えています。
その後叔父は時々【少年サンデー】を持って帰って来ました。
やがて【少年マガジン】も持って帰る様になったのですが・・・ある日、
叔父に素直な質問をぶつけました。
「どの漫画を読んでも全部続きになっとんやけど、あんちゃんが持って帰ったんを
 見るけんど話がわからん、なんでやろ?」
「バッカじゃのぉ、週刊誌じゃけぇじゃろがぁ! 毎週買う小遣い持っとらんけぇ
 無理じゃ!」

それからは続きが読めるように二人で小遣いを貯めました。(必死でしたね。)
漫画に取り憑かれてしまったのは言うまでもありません。

[イガグリ君] [あんみつ姫] [ロボット三等兵] [鉄人28号] [鉄腕アトム]
[スポーツマン金太郎] [ワンダー3(スリー)] [スリル博士] [宇宙少年ソラン]
[伊賀の影丸] [ちかいの魔球] [紫電改のタカ] [ 黒い秘密兵器] [赤同鈴の助]
[無用の介] [おそ松くん] [オバケのQ太郎] ・・・等々、
書き上げればキリが無くなる程記憶に残っている漫画達。

[少年ブック] [冒険王] [少年画報] [少年] [ぼくら] ・・・そして
[少年マガジン] [少年サンデー] へと・・・小遣いをすべてつぎ込み、
片っ端から読み漁ったものでした。
漫画少年にとって毎日が最高に幸せな時間でしたね、だって僕の頭の中では
自分が “イガグリ君” になって柔道をしているし、
“金太郎” になって野球をしている。
どれも知らないスポーツだけど自分がヒーローでいられる時間でしたから。

そんな最高の時間はずう〜〜〜っと、続きます!


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