3本のクラブでラウンド〈その1〉

田原プロに教わり始めて順調に1年が過ぎた頃の事です。
【 夢の70台に突入だぁっ! ! 】と、息巻いてラウンドするのですが、
どうしても70台に突っ込む事が出来ないのです。

田原プロに相談をしました。
『そうかい、そんなに難しいかい?』と、いつものにこやかな口調です。
「はい、どうしても70台のスコアが出ないのです、どうすればいいんでしょうか?」
『簡単な事だよ!』と、優しい目が仰いました。
「えっ!? 簡単な・・?」
『そう、とっても簡単なこと! 解らないかい?』と、優しい目は私に答えを求めます。
「うう〜〜ん・・・??」と、うなるだけの私。
『答えは、樹本くん自身が出すとして、その方法を教えてあげよう。
 これからは3本のクラブでラウンドをして下さい、解りましたね。』

「3本・・・どのクラブで・・・?」
『150Yをキャリーで打てる番手は? アプローチをし易い番手は?』
「7番アイアンと、PSです。」
『その2本にパターを加えた3本ですよ!』
「でも・・・もしガードバンカーに入ったらどうすれば・・?」
『入れなきゃいい事、万一入ったとしても3本のクラブで工夫すれば何とでもなるよ!
 答えが出るまで3本以外のクラブを使うことは許しません!』と、
いつもと変わらない優しい口調の田原プロでした。

それからのラウンドは大変でした。
3本のクラブを手に持ち18ホールを歩いたり、友人のキャディーバッグに入れて
回ったり、他の人とのラウンドや、コンペの時などは、自分のキャディーバッグに
3本のクラブだけを入れてラウンドしました。

当然コンペの皆さんは変な顔をします。 そしていつも同じ事を聞かれます。
「どうしたの? 他のクラブは? それじゃぁスコアにならんでしょう!」と。
最初の頃は丁寧に理由を説明していたのですが、
会う人すべてがいつも同じ事を聞いてくるので次第に面倒臭くなり、
「すみません、下手なもんで、ご迷惑かけない様にしますので。」と言うと、
「そうなんだ、まぁ頑張って! 解らん事があったら何でも聞いてね。」と、
決まって肩を叩かれました。

そんな様子のラウンドが暫く続きました。
なぜ70台が出ないのか、70台を出すにはどうすれば良いのか・・・
答えが見つかるまで、ずうっと3本のクラブだけでラウンドを続け通しました。

その答え探しの様子は・・・。   つづく。
         
    「3本のクラブでラウンド」〈その1〉 完。


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